粒子線治療（重粒子線治療・陽子線治療）

概要

粒子線治療とは、重粒子や陽子などの粒子放射線をがんに照射する治療方法です。利用する粒子の種類によって「重粒子線治療、「陽子線治療」などに分類されます。

特徴

照射する重粒子線や陽子線は一定の深さ以上には進まず、ある深さで強く作用するという特性があります。このことから、重粒子線や陽子線は、Ｘ線やγ線といった光子線と比べて、がんの部分に集中させることが簡単です。その結果、副作用を軽減しながら、がん組織に対して十分な線量を照射することができます。
がん組織に集中して照射できるため、進行していないがんの治療に適しています。早期がんの場合ならば、完全に治すことも期待できます。

その他の特徴として、痛みを感じない、高齢者も利用できる、深部のがんにも適用可能などがあります。

重粒子線とは 重粒子線とは、電子より重い粒子のビームの総称で、放射線の一種です。炭素・ネオン・シリコン・アルゴンなどの粒子を加速すると、重粒子線が得られます。
陽子線とは 陽子は水素の原子核であり、それを加速したものが陽子線です。陽子線も放射線の一種です。
重粒子線と陽子線の違い 重粒子線は線量の集中性が陽子線よりも優れています。細胞の殺傷効果は陽子線の2～3倍あります。照射する回数も陽子線より少なくて済みます。

対象疾患

有効性が明確 眼球内の悪性黒色腫、中枢神経系の近くの脊索腫や軟骨肉腫、一部の頭頸部がん（従来の放射線では治療が難しいもの）、Ⅰ期非小細胞肺がん、肝細胞がん、前立腺がんなど。